ビットコインがバブルではない三つの理由

2017年に入って価格が4倍に上昇したビットコイン。そして40倍に上昇したイーサリアム。仮想通貨投資で億万長者になった「億りびと」たちの出現
 
去年投資していれば...
 
そう思った読者の方々も多かったのではないでしょうか。
特に2017年4月頃以降の値上がりは急速で、仮想通貨についてメディアで目にする機会が増えてきました。
価格の値上がり方はバブルを彷彿させ、「仮想通貨バブル」は崩壊するのではないかという懸念もあります。確かに、過去半年で約40倍に跳ね上がる金融商品には少し恐怖を覚えるものです。
 
筆者は2017年になって少額ながらビットコインとイーサリアムを資産として購入し、その経過を追ったり、仮想通貨市場の動向について考察したりしてきました。
その中で、やはりビットコインはバブルではない、と感じてきました。今回はその理由を⑴通貨・決済手段としてのビットコイン⑵取引所閉鎖やICO問題についての誤解⑶金融資産としてのビットコイン、という三つの観点から議論してみたいと思います。
 
 
1) 通貨・決済手段としてのビットコイン
 
まず、2017年に入って値上がりしてきた理由は決して実態のない妄想からではなく、通貨・決済手段としての仮想通貨の役割が認識されてきたからだと思います。
よく言われるのが、中央集権的な管理者のいない、P2Pの分散型ネットワークによるデータの改ざん困難性によって安全性が担保されるという議論です。
しかし、もっと顕著でわかりやすいのがその決済手段としての利便性です。実際に仮想通貨を購入してみるとわかると思うのですが、取引所間の送金もQRコードのみで完了するなど、決済・送金の手間が相当省ける。そして、手数料もほとんどかからない。この特性はビジネスの利用ケースにおける可能性を感じさせ、信頼性も増しているのだと思います。
実際に信頼できるかどうかということも大事ですが、それ以上に信頼できると「感じるか」が重要です。技術的な話に詳しくない筆者が仮想通貨を購入した理由はこの先ビジネスで利用されるシーンが増えると「感じた」からなのです。
 
そんなに、感覚的な話でいいのか?
そんな声が聞こえてきそうですが、いいのです。なぜなら、通貨という決済手段自体が感覚的なものだからです。
 
もともとは、国が発行する貨幣(手形)に対して金貨を兌換してくれるという信頼のもとので貨幣は成り立っていた。兌換紙幣がなくなった今でも通貨の価値は交換価値によって担保される。つまり、みんなが欲していて信頼しているから価値が担保される。
その延長線上に仮想通貨の存続根拠があると思うのです。
 
 
2) 取引所閉鎖やICO問題についての誤解
 
しかし、仮想通貨には兌換を保証してくれる中央管理者などいないではないか?資産の保全を保証してくれない金融商品など不安定な妄想にすぎず、いつかバブルは崩壊する。
 
上記のような反応が自然なものだと思います。
実際にマウントゴックス事件(2014年2月、取引所に存在していた75万ビットコインもの顧客の資産と自社保有分の10万ビットコインの計85万ビットコインが消失した)では、取引所が破産し、ビットコインを購入した人の資産は担保されませんでした。
 
しかし、誤解してはならないのが、取引所閉鎖の事件は、ビットコインではなく取引所の信頼性の問題であるということです。つまり、ビットコイン決済手段としての利便性や安全性を疑うのではなく、自らが経営する取引所から資金を横領した経営者を咎めるべきなです。取引所は信頼できるものを選びたいところです。
とは言っても取引所を完全に信頼できない人も多いので、そのような人のためにウォレットという仮想通貨を取引所から隔離して補完する商品があります。ウォレットにはデスクトップに保存するものや、オンライン上のウォレット、ハードウェアのウォレットなどの種類があるので、調べてみるといいと思います。
 
また、最近話題になっているのがICO(Initial Coin Offering)。個人や企業が自らのトークン(株のようなものだと理解しています)を発行して自らのプロジェクトを売り込み、仮想通貨で資金調達を行う仕組みで、資金調達の民主化に向けた大きな動きだと言われています。
 
3時間で1.5億ドルを調達した、「ザ・バンコールプロトコル」やなんと30秒で3500万ドルを調達したインターネットブラウザのプロジェクト「Brave」など短期間で大型の資金調達に成功した事例がセンセーショナルに語られています。
 
一方で、全体のICOのうち56%が、約束したはずの製品やサービスが存在しない案件というデータ(日本経済新聞)もあります。
誤解を恐れずに言えば、新しいプロジェクトや商品の発表を期待して出資された資金の過半数が無駄になっているのです。
 
こういった危険性からICOに関する規制が厳しくなりつつあります。
しかし、これもまたICOのシステムが不整備であることが問題であると思うのです。ICOではホワイトペーパーという事業計画書のようなものをオンライン上で発行すれば誰もが資金調達をできてしまう仕組みですが、このシステムには問題があります。すなわち、商品が実在していなくて、自分(あるいは自社)のスキルも不足しているのに資金調達が先行して行われるのです。いくら民主化とはいえ、この仕組みだけ見れば逆に上の56%という数字が小さく見えてきます。
 
つまり、ICOの問題は仮想通貨の問題ではなくICOの仕組みの問題であるのです。さらに、上記のような大型な資金調達を短時間て達成している事例をみると出資方法として一般投資家のニーズが顕在している証拠になると思います。
 
 
3) 金融資産としてのビットコイン
 
ブロックチェーンの技術を使った仮想通貨は、上記の通り中央管理者がいないので、中央管理者の危機などに振り回されることはありません。日本ではあまり実感はありませんが、中国やその他新興国の中には、現地の通貨は必ずしも安全資産として機能しません。
そこで、政治的不安定性が増すと為替リスクや政治リスクのないビットコインに資金が流入するという現象が起こっています。
また、国の経済が低調でデフレが予想される局面では、国の経済との相関性の低い仮想通貨が買われる傾向にあると思うのです。
つまり、仮想通貨はその他の有価証券とは相関性の低い新しいアセットクラスとして投資対象になりうると思うのです。確かに、価格が乱高下することから現状では投機的な側面があると思いますが、将来的には一般的な資産運用におけるポートフォリオに組み込まれていく傾向にあると思っています。
 
まだまだ勉強途中なので最終的な結論に至ったわけではないですが、読者の皆様のご意見を頂戴して、今後の勉強に役立てたいと思います。
ご意見やアドバイス等をよろしくお願いします!
 
P.S. このブログを書いている途中にJPモルガンのダイモンCEOがビットコインを詐欺だと批判し、社内のBitcoinの取引を禁止したとのニュースが入ってきました(笑)。
仮想通貨を「機能的側面」と「投機目的の側面」の二つに分けて議論した場合、ダイモン氏の主張は後者に関するものだと考えられます。実際JPモルガンブロックチェーンの技術は認めていて導入を進めているそうです。今回のブログでは、上記二つの側面を混合して議論してしまいましたが、二つを分けて議論したらもっと議論が整理されるだろうと書き終えて反省しております。
 
 

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